冷淡男子の上條君は全振り初カノにご執心

夕食はすき焼きをご馳走になった。
小森のスタイルの良さは母親譲りで、顔のつくりは父親似だということが分かった。

デザートにチーズケーキを頂いていると、母親が小森のアルバムを持って来た。

「やだっ、お母さん、持って来ないでよっ!」
「いいじゃない、減るもんじゃないし♪」

有無を言わさずアルバムを開く母親。
一度言い出したら聞かないという性格だと話してたっけ。
押しの強い母親の性格は受け継いでないらしい。
そんなことをふと考えながら、有難くアルバムを見せて貰う。

「フリフリの服ばっかりだな」
「っ……」
「どれも可愛い」
「っっっ~~」

照れる小森を横目にアルバムを捲った、その時。

「まどかはね、小さい頃から聞き分けのいい娘だったの。若すぎる両親のせいで、周りから後ろ指さされることも多くて。だから、自然と身についた術が『いい娘』という鎧を身に纏うことだったんだと思うの」
「……」
「この娘、一見落ち着いた風に見えるけど、常にフルスロットルで頑張りすぎるから無駄な労力使いすぎるし」
「……」
「それでも、手を抜く術を身につけてないから、結果にも拘りすぎるし、見てて痛いこと多いわよね?」
「確かに、頑張りすぎると思います。だけど、頑張ることはいいことだと思いますし、真っすぐなまどかさんは素敵でカッコよく思えます」
「そんな風に言って貰えると、嬉しいわね」
「それに、自分は何事にも努力したことが無かったので、常に成長し続けようとする彼女に沢山教わりました」
「あら、やだ♪瞳からハートが出てるわよ♪」
「っ……、すみませんっ」

< 79 / 132 >

この作品をシェア

pagetop