元カノからのプレゼント
「へえ〜、葉ちゃんもうすぐ結婚するの?」

「ああ。式は来月の十日。部長の娘さんと」

葉一がそう言うと、月は「そうだ!」と何かを閃いたように自身の持っているバッグの中を漁る。そして、サプリメントの入ったケースを葉一に渡した。

「これ、お肌の調子とかを整えてくれるすっごくいいサプリなの!これよかったら挙式前に飲んで!結婚祝いってことで!」

「えっ?いいよ。こんなの無料で貰えないよ」

葉一はそう言ったものの、月は強引にサプリメントを葉一に押し付け、雑踏の中へと消えてしまう。残された葉一は、ため息を吐きながらサプリメントを見ていた。



「ハァ〜……頭いってぇ……」

結婚式当日、本来ならば幸せいっぱいに包まれているはずの控え室では、葉一は頭を抱えながらため息を吐いていた。

昨夜、独身最後ということで葉一は友人たちとお酒を飲んで盛り上がっていた。気分がよく、何杯も強いお酒を飲んでしまったため、体調としては最悪だ。
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