結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
その後。
矢崎くんは上に話を通し、営業部の若手を三人ほど当日の手伝いに回す手はずを整えてくれた。
もちろん、彼も手伝ってくれる。

「えっと……」

「時間、いいのか?」

「えっ、ヤバっ!
もう出なきゃ!」

矢崎くんから声をかけられ、見ていたタブレットから顔を上げる。
イベント当日、朝食の時間すら惜しんで、最終確認をしていた。

マンションの地下駐車場で、彼の車の助手席に収まる。
今日は小回りが効くようにと、矢崎くんが車を出してくれた。
いつも乗っている高級外車ではなく国産コンパクトなのが、いかにも普段、一般社員に擬態している矢崎くんらしい。

「なんで純華が、そんなの見てるんだよ?」

「えーっと……」

私のタブレットの画面をちらっと見て、矢崎くんは怪訝そうだ。
私は全体の指揮なのに、司会進行の台本を念入りにチェックしていればそうなるだろう。

「一応、確認?」

曖昧な笑顔を彼に向ける。
私には今回のイベント、気にかかる心配があるのだ。
なので私の仕事外の、司会進行の台本を頭に叩き込んでいた。
心配が杞憂に終わり、これが無駄になるに越したことはない。
そう、願っているけれど。

「おはようございまーす!」

一度、会社に寄ってイベント会場に入る。

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