結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
「優しいとかじゃないよ。
アイツのせいで、あの人や父のような被害者が出てほしくないだけ」

父の部下は一生、父と私たちに後ろめたさを抱いて生きていくのだろう。
父だって犯罪者の肩書きを背負っていかなければならない。
同じような思いをする人が、これ以上増えてほしくないだけだ。

「優しいよ、純華は」

紘希はそう言うが、優しいのは紘希のほうだ。
きっと鏑木親子を突き放しながらも、紘希は彼らの被害に遭った人たちを救済していく。
今までもそうだったように。



あれから、会長にきちんと父親の話をした。

『愚息が大変なご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした!』

ソファーから下り、土下座までする会長には驚くと同時に、大変気の毒になった。
未成年ならまだしも、成人した人間のしでかしたことだ、親が責任を取る必要はない。
それにいくら事情があったとはいえやはり、刺してしまったのは悪いと思うし。

それでも、会長が謝罪してくれたおかげで、長年のわだかまりはかなり薄くなった。
鏑木社長本人は絶対に、許せないが。

紘希のお父さんの仕事が落ち着いた頃に、家族にも紹介してもらった。
紘希は〝ただの弁護士〟なんて言っていたが、お父さんはかなり優秀な弁護士で、大手の弁護士事務所を経営している。
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