結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
力強く頷く彼は頼もしかった。

遅くなったので互いの家に帰ろうと提案したものの。

「じゃあ、俺が純華んちに泊まるー。
俺のお泊まりセット置いてあるから、問題ないだろ?」

悪戯っぽく顔をのぞき込み、もうその気なのか私の手を掴んで矢崎くんはタクシーを拾っている。

「うっ。
そ、そうだ、ね」

そうだった、酔って送ってもらうことが多いから、遅くなったときは泊まれるように置いてあるんだった……。

タクシーで私の住んでいるマンションに向かう。
もちろん矢崎くんちのような高級タワマンではなく、ごく普通の1LDKマンションだ。

入れ替わりでさっさとお風呂を済ませてしまい、布団に入る。
矢崎くんはいつも、リビングに引いた布団だけれど、今日は。

「純華と一緒に寝るー」

せっかく布団を引いたというのに、枕を抱えて私のベッドにやってきた。

「えっ、狭いよ」

矢崎くんのお家のベッドはキングサイズだったからふたりでも楽々だったが、うちはシングルサイズなのだ。
大柄な彼とふたりとは狭いに決まっている。

「いいから」

私を追いやり、彼はベッドに入ってきた。
思ったとおり、狭い。
ふたりでぎゅうぎゅうになり、寝返りを打ったら落ちないか心配になるくらいだ。

「すーみか」

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