結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
矢崎くんは腕を伸ばし、私を抱き締めてきた。

「こうやって寝たら狭くないだろ」

いや、これはこれで身動きができないからなんというか……。
しかし、彼はご機嫌だ。
それになんか……落ち着く。

「そうだね」

甘えるように彼の胸に額をつけた。

「純華?」

「んー?」

疲れているからか、意識が溶けていく。

「純華はいっぱい頑張って、疲れてるもんな。
おやすみ」

額に落ちた優しい口付けを最後に、完全に眠りに落ちた。



翌日は矢崎くんに見送られて仕事に行った。

「いってらっしゃい」

今日も彼が、私にキスしてくる。
それが、くすぐったくってちょっと嬉しい。

「いってきます」

彼に少しだけ笑顔を向け、家を出る。
なんだか今日は、いつも以上に頑張れそうな気がした。

休日は会議がないし、クライアントからの電話も減るので仕事に集中できる。
いつもはなかなかできない、請求書の作成などの溜まっている雑務をこなしていった。

「すーみか」

「うわっ!」

突然、後ろから肩を叩かれて思わず悲鳴が出る。

「驚いた?」

びっくりしている私の顔をのぞき込んでおかしそうに笑ったのは、矢崎くんだった。

「そりゃ、びっくりするよ」

急に肩を叩かれたら、誰だって驚くに決まっている。

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