結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
私は別に、矢崎くんがお金持ちだからと結婚を決めたわけではない。
気があって、一緒にいると楽しい人。
それだけだった。
知ったあとだって、彼の考えが私の欲しい答えだったからで、お金は関係ない。

「ふぅん。
純華は俺の金で楽したいとか思わないんだ?」

「全然。
欲しいものは自分で稼いで買うし、結婚したからってお気遣いは無用だよ。
もっとも、夫婦なのは今日までかもしれないけど」

なにが嬉しいのか、さっきから矢崎くんはにこにこしっぱなしだ。

「やっぱ俺、純華と結婚して正解だったな」

伸びてきた手がするりと唇の端を拭って離れる。

「ゴマ、ついてた」

「えっ、うそっ!?」

慌ててそこに触れるが、もうあるわけがない。

「明日はお母さん、頑張って説得しないとなー」

もう、母に反対される可能性が高いのは、理由は誤魔化して伝えてある。
なのに矢崎くんは楽しそうでわからなかった。



翌日は母がお昼にお寿司を取るというので、それにあわせて矢崎くんの運転で実家へ行った。
そう。
彼は車を持っていて、しかもSUVタイプの高級外車だったが、それにはもう触れない。

「ただいまー」

「おかえりー」

ドアを開けるとすぐに、母が出てくる。

「こんにちは」

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