結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
気分転換にコーヒーを淹れようと席を立つ。
休憩コーナーに近づいたら、話し声が聞こえてきた。

「週末、ランドに行ってきたの。
これ、お土産」

「えっ、ありがとう!
でも子供、具合悪いんじゃなかったの?」

話しているのは加古川さんと同僚女性みたいだ。
なんとなく、私は聞いてはいけない会話な気がして、隠れた。

「あー。
木曜の夜にちょっと熱出てさ。
金曜には下がってたんだけど、大事取って休ませたんだ。
ホテルの予約してたしさー」

「それは仕方ないかー」

彼女たちは楽しそうに笑っていて、そっとその場をあとにした。
子供が夜に熱を出したのなら、翌日大事を取って休ませたいのもわかる。
ホテルだって当日のキャンセル料は100%だし、もったいないのもわかる。
でも、モヤってしまうのって、私の心が狭いからなのかな……。

お昼はいつものように社食へ行った。
隅っこで、チキン南蛮セットをもそもそと食べる。

「すーみか」

声をかけられて顔を上げると、矢崎くんが目の前に座るところだった。

「出遅れたからローストビーフ丼売り切れててさー。
残念」

そういう彼のトレーの上にはカツカレーがのっている。

「あれは人気だから仕方ないよ」

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