結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
さらにひとつを私に渡してくれる。

「ありがとう。
でも外食続きすぎじゃない?」

彼と結婚した金曜日から今まで、夕食はずっと外で食べていた。
さすがにこれだけ続くと、そろそろマズいんじゃって気になってくる。

「そうか?
俺、いつもこんな感じだし」

そうか、忘れていたわけではないが、矢崎くんはお給料以外にかなり稼いでいる人なのだ。
それでも。

「今後も毎日外食はいろいろ心配だよ。
あっ、お金がってわけじゃなくて、健康面が」

彼がなにか言いそうな気配を感じ取って、慌てて付け加える。

「純華が俺の健康を心配してくれた」

眼鏡の陰に笑いじわを覗かせ、くしゃっと彼が幸せそうに笑う。
なんかいちいち、なんでもないことに喜ぶ矢崎くんが凄く可愛い……とか言ったら、怒られちゃうかな。

「そーだなー、純華より先に死ぬわけにはいかないし、長生きしないといけないもんな」

それになんと答えていいのかわからなかった。
そこまで心配しなくても、私が彼と一緒にいるのはきっと短い期間だ。
もしかしたら一年どころかここ数ヶ月のあいだの話かもしれない。
でも彼はそんな私の事情を、知らないのだ。

「朝、矢崎くんに作ってもらったし、夜は私が作るよ」

「純華が!?」

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