結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
おはよう、おやすみ、いってきます、おかえり。
とにかく矢崎くんはキスをしたがり、一日に何度もしていた。
いまさら、恥ずかしがることもない。
邪魔になる髪を耳にかけ、彼に顔を近づける。

……あ。
睫、レンズに当たりそうなくらい、長いんだ。

なぜか妙に冷静に、そんなことを考えていた。
唇を重ね、離れる。
ゆっくりと彼の目が開き、私を捉えた。

「……足りない」

まだ吐息がかかる位置で彼の手が私の後ろ頭にまわり、引き戻される。
今度は彼のほうから唇が重なり、侵入してきた彼がすぐに私を捉える。

「……んん」

くちゅりくちゅりと私たちが立てる水音が、部屋の中に響いていく。
甘く痺れた頭で、夢中になって彼を求める。
そのうち、情動を抑えきれなくなったのか、彼の手が私の胸を弄った。
それで一気に、現実に戻る。

「……ダメ」

彼から離れ、やんわりとその手を押し止めた。

「なんで」

矢崎くんは驚いているようにも怒っているようにも、……傷ついているようにも見えた。
それを見て、私の胸も釘でも打ち込まれたかのように、ズキズキと痛む。

「……ごめん」

気まずくなって、俯いて視線を逸らした。

「それは俺に抱かれるのが嫌だから?」

ふるふると黙って首を振る。
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