せっかく侍女になったのに、奉公先が元婚約者(執着系次期公爵)ってどういうことですか2 ~断罪ルートを全力回避したい私の溺愛事情~
「すごい! 滲んでいた文字も、完璧に読めるようになってる……!」
興奮気味に言うと、コンラート様は勢いよく私の方に振り向くと、満面の笑みでこう言った。
「ありがとうユリアーナさん! 君のおかげで、またこの本を楽しめるよ!」
「ふふっ! どういたしまして。コンラート様の楽しみをひとつ増やせて嬉しいです」
あまり感情を表に出すタイプではないと思っていたコンラート様が、ものすごく喜んでくれているのがビジビジと伝わって来て、私まで幸せな気分になる。
「ねえ、もし時間があるなら、ここで少しおしゃべりをしない? 書庫にもお茶とお菓子を用意してあるんだ。さっき僕が補充した新しいお菓子があるから、ぜひユリアーナさんに食べてもらいたいな。本のお礼をどうするかの話もさせてほしい」
「そんな! お礼なんていらないです」
「いいや、それじゃあ僕が納得いかない」
お礼を断ると、コンラート様は不服そうにしている。どうしたらいいのだろう……あ。
「それじゃあ、その新しいお菓子とやらをお礼にしてもらってもいいですか? ちょうど甘いものが食べたい気分だったので」
「……そんなのでいいの? もっと欲しいドレスとか、宝石とか」
「いえ、そういったものはいりません。だったらこの空間でコンラート様とお菓子を嗜むほうが、ずっと贅沢ですので」
「……」
私がそう言うと、コンラート様は一瞬黙り込む。
実際、侍女の私が隣国の王子とふたりでお茶とお菓子を楽しむなど、贅沢以外のなんでもないのだから、そこまで変なことを言ったつもりはないのだけど……。
「君がそう言うなら、そうしよう。それにしても……ユリアーナさんって、変わってるね。もちろん、いい意味で」
コンラート様はそう言うと、書庫室の隅にある棚からお菓子と紅茶セットを取り出した。
「手伝います!」
私もすぐに動いて、用意された紅茶を淹れる。簡易的なものだから、お湯を注ぐだけだが、コンラート様にそんな作業をさせるわけにはいかない。
紅茶のいい香りが書庫室に漂い、アーモンドと生キャラメルがたっぷり入ったフロランタンの甘い香りも、徐々に香ってくる。
私はコンラート様と向い合せに座ると、ひと時のお茶会を楽しむことにした。……街まで出たのだから、どうせクラウス様はまだ戻ってこないだろう。
「う~ん、美味しいっ」
ぱくりとフロランタンを食べると、口内に幸せが広がった。
「これ、王宮のシェフの手作りなんだ。僕はいつでも食べられるし、ユリアーナさんがたくさん食べて」
「いいんですか⁉ それじゃあ遠慮なく……」
手が止まらなくて、お皿に並んだフロランタンをぱくぱくと口に運ぶ。まるで、マフィンにがっつくマシューのようだ。
「それと、コンラート様。私のことはユリアーナと呼んでください。〝さん〟を付けてもらうような立場ではございませんので」
いい機会と思ったため、私はずっと気になっていたことをコンラート様に告げる。ユリアーナさん、なんて呼ばれ慣れていないため、正直むず痒さを感じていた。
「うちに留学に来てくれたクラウスの専属侍女だから、敬意を表してそうやって呼ばせてもらってたんだけど……君自身がそう言うなら」
「はい。よろしくお願いいたします」
クラウス様はともかく、専属侍女にまで敬意を払うなんて。
話せば話すほど、コンラート様の好感度は上がっていく一方だ。
「ずっと思っていたんだけど、ユリアーナって可愛いよね」
突然さらりとそんなことを言われ、フロランタンを食べる手が止まる。
興奮気味に言うと、コンラート様は勢いよく私の方に振り向くと、満面の笑みでこう言った。
「ありがとうユリアーナさん! 君のおかげで、またこの本を楽しめるよ!」
「ふふっ! どういたしまして。コンラート様の楽しみをひとつ増やせて嬉しいです」
あまり感情を表に出すタイプではないと思っていたコンラート様が、ものすごく喜んでくれているのがビジビジと伝わって来て、私まで幸せな気分になる。
「ねえ、もし時間があるなら、ここで少しおしゃべりをしない? 書庫にもお茶とお菓子を用意してあるんだ。さっき僕が補充した新しいお菓子があるから、ぜひユリアーナさんに食べてもらいたいな。本のお礼をどうするかの話もさせてほしい」
「そんな! お礼なんていらないです」
「いいや、それじゃあ僕が納得いかない」
お礼を断ると、コンラート様は不服そうにしている。どうしたらいいのだろう……あ。
「それじゃあ、その新しいお菓子とやらをお礼にしてもらってもいいですか? ちょうど甘いものが食べたい気分だったので」
「……そんなのでいいの? もっと欲しいドレスとか、宝石とか」
「いえ、そういったものはいりません。だったらこの空間でコンラート様とお菓子を嗜むほうが、ずっと贅沢ですので」
「……」
私がそう言うと、コンラート様は一瞬黙り込む。
実際、侍女の私が隣国の王子とふたりでお茶とお菓子を楽しむなど、贅沢以外のなんでもないのだから、そこまで変なことを言ったつもりはないのだけど……。
「君がそう言うなら、そうしよう。それにしても……ユリアーナさんって、変わってるね。もちろん、いい意味で」
コンラート様はそう言うと、書庫室の隅にある棚からお菓子と紅茶セットを取り出した。
「手伝います!」
私もすぐに動いて、用意された紅茶を淹れる。簡易的なものだから、お湯を注ぐだけだが、コンラート様にそんな作業をさせるわけにはいかない。
紅茶のいい香りが書庫室に漂い、アーモンドと生キャラメルがたっぷり入ったフロランタンの甘い香りも、徐々に香ってくる。
私はコンラート様と向い合せに座ると、ひと時のお茶会を楽しむことにした。……街まで出たのだから、どうせクラウス様はまだ戻ってこないだろう。
「う~ん、美味しいっ」
ぱくりとフロランタンを食べると、口内に幸せが広がった。
「これ、王宮のシェフの手作りなんだ。僕はいつでも食べられるし、ユリアーナさんがたくさん食べて」
「いいんですか⁉ それじゃあ遠慮なく……」
手が止まらなくて、お皿に並んだフロランタンをぱくぱくと口に運ぶ。まるで、マフィンにがっつくマシューのようだ。
「それと、コンラート様。私のことはユリアーナと呼んでください。〝さん〟を付けてもらうような立場ではございませんので」
いい機会と思ったため、私はずっと気になっていたことをコンラート様に告げる。ユリアーナさん、なんて呼ばれ慣れていないため、正直むず痒さを感じていた。
「うちに留学に来てくれたクラウスの専属侍女だから、敬意を表してそうやって呼ばせてもらってたんだけど……君自身がそう言うなら」
「はい。よろしくお願いいたします」
クラウス様はともかく、専属侍女にまで敬意を払うなんて。
話せば話すほど、コンラート様の好感度は上がっていく一方だ。
「ずっと思っていたんだけど、ユリアーナって可愛いよね」
突然さらりとそんなことを言われ、フロランタンを食べる手が止まる。