バイバイ、リトルガール ーわたし叔父を愛していますー
熱に浮かされて
「あなたの存在が航を苦しませている」

その言葉がすみれの精神をじわじわと蝕んでいった。

仕事でもミスを連発し、集中しようと思ってもすぐに心の重荷が顔に出てしまい、何度も先輩にきつく注意された。

・・・出逢ったときから航君が好きだった。

この出逢いは間違いだったの?

私は児童養護施設に行ったほうが良かったの?

ううん。そんなことない。

私と航君で紡いだ穏やかで幸せな日々は、決して嘘ではなかったはずだ。

今まで貰った沢山の幸せを今度は私が航君に返す番なのだ。

私が幸せにならなければ航君は自分の幸せを掴めない。

でも私の幸せは航君のそばにいることなのに・・・。

すみれはそんな堂々めぐりの思考から抜け出せずにいた。

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