御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい

side椎名Ⅱ

 
 「さすが、由奈だな。目の付け所がいい。うちにもそれはいい話だな」
 
 翌日、早速社長室へ行き母の提案の話をしたら、嬉しそうな父を見て、相変わらず母が好きなんだと再認識した。
 
 正直、父と一緒に酒を飲むと、継母の悪口ばかり言っている。
 聞く方は複雑だったが、やはり母と別れたことを後悔しているんだろう。
 父の様子から継母の辛さもわかるだけに、以前は言い返せずそのままにしていたのだ。

 「それで、お前は何でそんな顔してる?」
 
 「……実は、そのプロジェクトに条件があるらしいんだ」
 
 「当ててやろうか?」
 
 「え?」
 
 「水川さんを欲しいと言われたんだろ?」
 
 「……どうしてそれを」
< 161 / 283 >

この作品をシェア

pagetop