御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい
 
 彼に寄りかかる。
 
 「おい、何してる。離れろ」
 
 「イヤです」
 
 「お前、人の話聞いてるのか?」
 
 「私もあなたを守る手助けをしたい。前、頼りにしてるって言ってくれたじゃないですか」
 
 「馬鹿。何もするな。閉じ込めるぞ」
 
 「これでもウサギになってきてるんです。逃げ足早いのがウサギさんですよ」
 
 ウインクすると、彼は私のおでこを突いてため息をはいた。
 
 「……お前。俺が理性を総動員して送ってやってるんだ。ほら、駅だ。気をつけて帰れよ。着いたらメールしろ。俺が安心して眠れるようにな」
 
 そう言って、手を離し、背中を押してくれた。
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