臆病な私の愛し方

気持ちよ、届け…

 黒川さんに想いを伝えるなら今しかない。

「…黒川さん、私で良かったら付き合ってほしいんです!黒川さんのことがずっと気になって…好きなんです!お願いします…!!」

 すると今度は黒川さんが驚いているらしい。
 そして困惑気味のまま、少し小さな声で私に尋ねる。

「…俺が、怖くないのか…?」

 黒川さんが突然言った『怖い』の理解ができない。こんなに親切にしてくれる彼に、私がそんなふうに思うはずはないのに。

「黒川さんが『怖い』、ですか…?こんなに私を気に掛けてくれて優しいのに…?」

 確かに彼は基本的にあまり表情は変わらない。
 だからといってそれが怖いと思ったことはないし、彼が親切な人だということを私はもう知っているのだから。

「私…黒川さんのこと、きっとまだよく分からないのかもしれませんが、きっと怖くないですよ…?」

 私が続けてそう返すと、黒川さんはほんの少し笑ったようだった。

「…俺で、良かったら。黒川定紀…テイキでもいい」

 黒川さんがそう答えてくれる。
 テイキという名前だったことを知って、私は彼がもっと知りたくなった。
 自然と私の顔も緩む。

「テイキさん…はい…!えっと…私は、青沢奈津、です…」
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