臆病な私の愛し方
 もしかしたら私はテイキさんを不安にさせてしまったのかもしれない。
 それにあんな嫉妬までさせて…

「…ごめんなさい…もっと早く、教えて欲しいって言えば良かった…」

 私は自分の不甲斐なさに泣きそうになりながらもこらえて尋ねる。

「手、握ってもいいですか…?私、テイキさんの手、すごく好きなんです…」

 前に一度だけ繋いだテイキさんの手は、温かくしっかりした手だった。

 今すごく、テイキさんの手を握りたい…

 私はソファーから立ち上がりテイキさんの手を恐る恐る握る。
 テイキさんは驚いているけれど、嫌な思いはしていない様子。

「…一人で、一生懸命に生きていたんですね、テイキさん…。私、テイキさんの重荷になっていなければいいけど…」

 私はもっとテイキさんを感じたくて自分の頬に、目を閉じてそっと当てた。

「尊敬してます…私のことを助けてくれて、生きるのも頑張るテイキさん…大好きです…。ずっと、そばにいてもいいですか…?」

 やっと言えた自分の気持ち。

「…逃げないなら、いい…。ナツが俺から、逃げないなら…」

 強い気持ちを絞り出すような声で、テイキさんはそう答えてくれる。

 きっとテイキさんは、今まで好きな人に離れて行かれて…
 だからこんなに不安そうなんだ…

 安心させてあげたい。
 その一心で私はテイキさんに告げる。

「逃げたりしません…私、テイキさんのそばにいます…。大好きです、テイキさん…」

 テイキさんが私を心から信じてくれますように、そう願って。
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