臆病な私の愛し方

自業自得

「…騙したな…?」

 テイキさんは私をベッドに追いやり押さえつける。
 私はすぐにはテイキさんの言った“騙した”の意味が分からなかった。

「俺のことが好きだとか言っていたくせに…お前も俺のことを捨てる気になったんだろ…!!」

 …やっぱり、嫌われたと思ってたんだ…
 早く謝って誤解を解かないと…

「…テイキさん…ち、違…」

 しかし、私は怯えたまま言葉が出てこない。

「お前のことは逃さない…逃げ出そうとすればこの家に閉じ込めてやる…!!やっと捕まえたんだ、逃がすか…」

 テイキさんは完全に怒りの形相で、今にも私のことを強く抱きしめ腕の中に捕まえようとしている。

「…助けて…テイキさん…」

 私は強い気持ちが口からそう出たきり、涙しか出てこない。

 テイキさんに助けてほしい…
 叔父さんが諦めてくれなくて、毎日のように家のすぐ近くまでやってきて私を説得しようとする…

 テイキさんにただそう言えばいいだけなのに…

「助けて…?ここには誰も助けには来ない、残念だったな…」

 テイキさんは鼻で笑い、私を強く抱きすくめた。

 きっと私は誤解されたまま…
 でも、久しぶりのテイキさんの腕の中は心地が良い。
 このままならもうすぐ落ち着いて、ちゃんと言葉になるかもしれない…

「…どうして…」

 テイキさんは困惑した様子でそう呟く。

 私は何とか話をする決心をし、口を開こうとした。
 しかし、

「…出ていけ…」

 テイキさんの掠れた声。
 そして、さらに強く拒絶をするような叫び。

「出ていけ…もういい…!!」

「そんな、テイキさん…!」
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