Far away ~いつまでも、君を・・・~
通用口を出ると、すぐに


「彩。」


と声が掛かる。振り向いて


「すいません、お待たせしました。」


と答えた視線の先には、由理佳がいた。


「今日も忙しかったんでしょ。お疲れ様。」


「ありがとうございます。」


「さっそく行こうか。」


「はい。」


一昨日の夜、彩のスマホが、彼女の仕事終わりを待ちかねたように鳴り出した。そして、今日、2人は待ち合わせをした。今年初めの大地の結婚式の夜に、同じように会った時、日曜の夜で営業してる店を探すのに少し苦労した経験から、今回は既に行く店を決めていた2人は、すぐに歩き出した。


入ったカフェレストランは、夕食をガッツリ摂りたい彩向きの、メニュ-豊富な店だった。


「出張は終わったんですか?」


「うん。彩に電話した日に帰って来たんだよ。」


「そうだったんですか?お疲れのところ、すみません。」


「お盆休みも返上だったからね。で、やっと時期外れの夏休みに入って、今ノンビリしてるところ。」


そんな会話を交わしながら、この日は彩だけでなく、由理佳も結構食べた。


そして食事を済ませ、店を出た2人は、少し歩いて、公園に入った。すぐ近くにタワ-がそびえ立つその公園は、人気のデートスポットだが、日曜の夜も更けて来たこの時間ではカップルの姿もまばらだった。


「場所的にも、時間帯的にも女子2人で来る所じゃなかったかな?」


「かもしれません。」


少し苦笑いをしながら、2人はタワ-の見えるベンチに腰掛けた。


「斗真に告られたんだって?」


座った途端に切り出して来た由理佳に


「すみません、ドライブ行かないかって誘われて。まさかそんな展開になるとは思わずに、ちょっとむしゃくしゃしてたのもあって、軽い気持ちでOKしてしまったら・・・。由理佳さんに申し訳ないと思ってます。」


固い表情で彩は答えると


「ううん、別に彩が謝ることじゃないよ。」


由理佳は笑顔で言う。だが


「いえ、彼女がいる方と2人きりのドライブはやっぱりNGだったと思います。軽率でした。」


彩は表情は申し訳なさそうなまま。


「そっか。まぁそうかもしれないな・・・。」


笑顔を納めた由理佳は、フッと1つため息をついた。
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