【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
(破壊力、とんでもないんですけど!)


 わたしは思わず天を仰ぐ。

 最近すごく思うのよ。前世のわたしは一体どんな徳を積んだのだろう? 一体どんな死に方をしたんだろう? って。絶対に答えは出ないのに、そんなことを必死で考え続けている。

 だって、どう考えたっておかしいんだもの。
 エレン様がわたしのことを可愛いって! だからわたしと結婚したいって言うなんて。
 目がなにかにやられた――――なんて考えるのは非常に失礼だけど! そう考えないと納得できない。まさかがすぎる。


「エレン様、一体誰に騙されているんですか?」


 こんな甘やかしムード、一秒たりとも耐えられない。単刀直入に自分の考えを口にする。


「騙されている? 誰が?」

「エレン様が。よーーく思い出してください。わたしを可愛いと思うように、誰かから暗示をかけられた覚えはない? ここ最近、変な人と知り合いになったりとか」


 わたしはエレン様を見つめつつ、眉間にぐっと皺を寄せた。

 日頃からエレン様の交友関係は把握するよう努めている。エレン様にとって大切な人は、わたしにとっても大切な人だからだ。

 だけど、彼らとエレン様が実際になにを話しているのかまではわからないし、もしかしたら、わたしの知らないうちに国家レベルの陰謀が企てられているのかもしれない。エレン様を皇室のメンバーに加えたいと思っている誰かがいて、エレン様の心理操作をしているのかも……。


< 107 / 226 >

この作品をシェア

pagetop