【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「面倒くさい、とは?」

「だって皇配よ? 億を超える人間の命と幸せを預かっているのよ? 重いし、本来なら不要な貴族とのお付き合いとか、期待とか、色々とのしかかってくるのよ? 声の大きな新興貴族や商工会とか、頭の固い古株の重鎮とか、そういうのと神経をすり減らしながら戦わなきゃならないし、逐一行動を監視されて、自由もなくなってしまうし。資産はあっても使途については結構気を使わなきゃならないし、疲れることばかりだもの。権力を手に入れたいとか、皇配になって成し遂げたいなにかがあるなら話は別だけど、エレン様はそういう欲とは無縁でしょう?」


 エレン様には明るく楽しく、ご自分の好きなことだけをしながら、人生を謳歌していただきたい。皇配なんて足枷は邪魔なだけだ。わたしはそう思うのだけど。


「……そうですね。たしかに、権力欲的なものは俺にはありません。だけど、欲がないわけではありませんよ」

「え? そうなの?」


 エレン様の返答に驚いた。だって、そんなふうには全然見えないもの。
 もちろん人間なんだから欲があるのが当たり前なんだけど、エレン様ってわたしのなかでは人間を超越したお方だから。


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