【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜
「ジーンの様子も見れたことだし、そろそろ部屋に戻りましょうか?」


 わたしの筆頭護衛騎士であるジーンは今回の武闘大会に出場するため、護衛のシフトを減らして訓練の頻度を上げてている。とても気合が入っているみたいだから、主人としてこっそり応援してあげなきゃなぁと思ったのだ。ついでに騎士団の様子や、今回の件についての周りの反応も探れるしね。


(ジーンもなぁ……そろそろ護衛騎士を辞して爵位を継ぐ頃合いだし、手柄を立てておきたいんだろうなぁ)


 領民たちにとって、素晴らしい経歴を持つ領主というのは誇らしいものだ。ジーンは責任感が強いし、彼らのために頑張りたいのだろう。今だってわたしが見学に来ていることすら気付かずに、がむしゃらに訓練に励んでいるんだもの。


「――――それよりヴィヴィアン様、せっかく外出したのですし、たまにはカフェの方にお顔を出されてはいかがです?」

「え、カフェに? 嘘。今からそんな時間がとれるの?」


 公務や社交、推し活と、最近は忙しすぎて、まとまった外出時間はとれなかった。カフェに顔を出したのは2カ月前が最後だろうか? 唐突に浮上した嬉しい情報に、わたしはついつい浮足立ってしまう。


「ええ。ヴィヴィアン様もお疲れでしょうし、たまにはご自分の時間が必要だろうと思いまして、事前に調整させていただきました」


 ヨハナが微笑む。本当にできすぎた部下だ。
 スケジュールはヨハナがバッチリ管理してくれているから、彼女が大丈夫って言えば問題はない……けど、わたしにはひとつ懸念事項があった。


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