れんれんと恋するための30日


透子さんは、絶対にミッチーの事が好き。
そして、蓮はそれを知らない。


「ミッチーは日本に一年しか居られないの?」


福が道にそう尋ねた時に、拓巳が部室に入ってきた。
拓巳は福を見つけると、嬉しそうな顔でこちらへやって来る。


「幸、来てたんだ。バイトかと思ってたよ」


何もしらない拓巳が福にそう話しかけた時、道は拓巳にも聞いてほしいような大きな声でこう答えた。


「僕はこの学校では高校三年生だから、卒業式を済ませたその足でフランスに帰る予定。
無理に日本へ来てるせいもあって、色んな人達に迷惑をかけてる。
だから、10月に入ったら二週間ほどフランスに行ってきます。
ちゃんと帰って来る予定ではいるけどね。

ということで、この漫画は、大急ぎで仕上げなきゃ間に合わないんだ。
漫研部の部長と副部長にはちゃんと伝えたからね」


福は道が10月にフランスへ帰ってしまったら、もうここへは帰って来ないようなそんな気がした。


「ミッチー、彼女との約束は…
何の約束かは知らないけど、その約束はちゃんと守ってあげてね」


道は肩までかかる髪をかき上げながら、福に笑顔で目配せをした。



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