片想い

彼女

彼女ができたのだと知ったのは

三年生の夏



最後の夏を

彼女のトランペットの音に励まされ

打席に立った彼



彼女の姿が見えない場所で

私もそっと応援していたけど




トランペットの音は

嫌でも耳に入ってきた



うらやましいとも思ったけど

告白する勇気も
好きになってもらえる自信も


何も持てない私には


当然訪れるはずもない

彼との未来



彼の隣に立つあの子は

とても綺麗に見えた



あのトランペットの高らかな音は

彼女であるという自信
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