私の人生を変えてくれた人 ~もし君が生きてたら~ 前編
そして金曜日、俺は香音の病院へ来ていた
今日………やっと香音は一時退院できる
この……二ヶ月半……ずっと病院にいたもんな
香音………頑張ったな………
「下山先生……お忙しいのに、今日もありがとうございます」
「いえ!
俺が来たくて来てますから!」
「本当に……ありがとうございます……」
「気にしないでください…!
香音、また明日な!
明日会いに行くな」
香音と目線が合うように少し屈んだ
本当は………触れたかったけど……怖がらせちゃうといけないから
だから目線だけ合うようにした
「香音、良かったな
明日も下山先生に会えるぞー!」
「………………」
やっぱり何も話さないか………
「じゃあそろそろ……香音行くよ
下山先生……ありがとうございました」
「いえ
香音またな!」
「………………」
何も話さない
ただ………俺の服の袖を掴んだ
「香音…?
どうした…?」