私の人生を変えてくれた人  ~もし君が生きてたら~ 前編

「………………」

「お家、帰らないの…?
 幸輝も待ってるよ?」

「…………………」

「香音…………何でもいいから…反応してくれるかな…?
 お家に帰りたくない?」

「…………………」

何も反応なしか………

香音のお父さんも困ってる

「おーい香音ー
 下山先生と離れたくないのかー?」

「……………………」

何も言わない

けど……………俺の服の袖を掴む力が少し強くなった

「アハハ……やっぱりそういうことか
 下山先生………香音のことお願いしてもいいですか?
 離れたくないみたいなんで」

「えっ………いいんですか…?」

「下山先生がいいなら………お願いします」

「俺で良ければ全然!
 むしろ香音といられるのは嬉しいです…!」

「下山先生がいいんですよ
 あー、やっぱこんな親父より彼氏の方がいいですよねー
 下山先生、カッコいいし」

「そんなことないですよ……」

俺は苦笑するしかなかった

でも……俺を選んでくれたのは嬉しい

「じゃ香音、下山先生と仲良くなー
 また入院する日に来るから」

「…………………」

香音は最後まで何も言わなかった

俺達は別れ香音と車に乗った

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