天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
「担当、俺が代わろうか?」

 心配そうに声をかけてくれる城戸さんに、私は軽く深呼吸をして首を横に振る。

「大丈夫です。このままやらせてください」

 背筋を伸ばし、毅然とした口調で答える。城戸さんは私の目を見て頷き、「わかった。俺もサポートするから」と言ってくれた。

 いつも通りパイロットの気持ちになって、あらゆる情報から自分が与えるべきものを選ぶ。声に動揺は表さない。不安を伝播させないために。

「HA479、ありがとうございます。現在、5000ft付近にトラフィックはありません。無事到着するよう、こちらからの情報は逐一お伝えしますのでご安心ください」

 必ず安全に導いてみせる。そう自分自身にも言い聞かせて一旦無線を置くと、お義父様がとても真剣な面持ちで私に向き直る。

「莉真さん……頼む」

 彼が私に頭を下げたことに驚くも、気合いを入れ直して「はい」としっかり答えた。

 お義父様は城戸さんにも「よろしく」と声をかけ、オフィスを去っていく。暁月さんを心配しているのは明らかだった。わかりづらいけれど、彼もちゃんとわが子を愛しているのだと思う。

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