天才パイロットは交際0日の新妻に狡猾な溺愛を刻む
 城戸さんは今年の春から新千歳空港へ異動し、ゴンさんと一緒に働いている。

 一年前の不倫疑惑騒動があった時、実は『俺が異動するから莉真ちゃんはそのままにしてほしい』と、お義父様に交渉していたらしいのだ。

『新千歳は本当に人が足りないみたいだし、なにもなくても俺もそろそろ異動になるだろうから、辞令はいつでも受けるって言っておいたんだよ。莉真ちゃんからも離れて、けじめつけないとね』

 辞令が出た時、ちょっとだけ寂しそうに笑ってそう話していて、私も複雑な気分になった。

 でも、城戸さんはどこに行ってもできる人だし、やっぱり女性陣に大人気らしいので、良縁に恵まれるといいなと願っている。

「今日私が乗るって、城戸さんも知ってたんですね」
《ああ、ゴンさんから聞いてた。暁月もそんなことができるようになったんだねぇ》

 感心したように言う彼に同感だけれど、ゴンさんが私以外のいろんな人に今日の話をしていたことが判明して面白い。私に近い人が皆彼と仲よくなっていくのもすごいな。

《北海道もすごくいいところだから、莉真ちゃんもいつでもおいで》
「私はまだちょっと遠慮しておきます」
《つれないなぁ》

 口調から彼がむくれているのがわかってクスッと笑った。私が断るのは百も承知だったくせに。

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