不埒な上司と一夜で恋は生まれません
 いやいやいやいやっ。
 何故なんですかっ。

「そしたら、俺がいなくても入れるだろ」

 課長のいないときに、課長の家に入る用事なんてありませんよっ、と和香は焦る。

「け、結構ですっ」

「なにを遠慮することがある。
 俺がいないとき、入れなかったら不便だろう」

「い、いえいえ、大丈夫ですっ。
 それに、課長がいらっしゃらないときに入って、課長の大事なものとかなくなったら、私、疑われますしっ」

「別に大事なものなんてない。
 ああ、絶版になってる本とかはあるが」

「本は持って逃げませんが。
 通帳とか、印鑑とか金塊とかなくなったら……」

「……金塊はない。
 っていうか、別に、お前が通帳とか印鑑とか持って逃げても問題ないような」

 いや、何故なんですかっ。
 あなたの頭の中では、今、なにが起こってるんですかっ、と思ったとき、耀が振り向き言ってきた。
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