不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「そうなんですよ。
 それで、うち、プチトマトが森みたいになってて。

 庭中に大繁殖して、冬でも、ずっとなってたんですよ」

 プチトマトの森……。

 ちょっとファンタジーな感じだ。

「プチトマト、ほんとに、すごい繁殖力ですよね。

 庭一面に広がったプチトマト見てると、人間って、なんてちっぽな存在なんだって思って。

 人類がプチトマトに勝てる未来が見えてこないんですよね……」

 しみじみと語る和香に、戦おうとするなよ、プチトマトと、と思う。

 っていうか、プチトマトに勝てない人類ってなんだよ。

 せめて、トマトと戦え、と思ったとき、美那が、
「まだ繁殖してんの? そのプチトマト」
と和香に訊いた。

「さあ?
 最近、実家帰ってないので」

 実家っ。
 姉っ、と忘れようと思っていた、謎の姉のことが頭に蘇る。
< 70 / 438 >

この作品をシェア

pagetop