「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 ふつうのレディなら、その言葉でどれだけ傷つくだろう。きっとどん底に突き落とされたような感じになるかもしれない。

 カヨは? いくらふつうのレディとは違うといっても、さすがにこの強烈な言葉は傷ついたはずだ。

 おれのその容赦のない一言をきいた瞬間の彼女の顔……。

 なんとも言えない表情だったような気がする。気がするというのは、一瞬すぎてよくわからなかったからだ。だが、きっとそのはずだ。

 いくらカヨでも、あの禁断のワードに傷つかないはずがない。

 だが、もう遅い。口から飛び出した言葉は、いまさら取り消すことは出来ないのだから。

 だからこそ、二人っきりが気まずすぎる。
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