「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「クスト、くわしくきかせて」

 咲き誇るレインボーローズに背を向け、テラス席で優雅にお茶を飲んでいるクストディオに言った。


「父上が戻って来てくれたのだ。領地のことは任せられる」

 クストディオの申し出を家族に伝えると、なぜかお父様とお母様はおおよろこびした。

 わたしに目標というか、あらたな関心事が出来たと言って。

 だけど、お兄様は違う。

 お兄様はおおいに心配した。

 なぜなら、お兄様にとってわたしはいついつまでも「手のかかる妹」、だからである。

 いつもそう。過剰に心配したりよろこんだり怒ったりする。

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