「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「ところで、この葡萄酒はどうしたの? どこかに隠されていたもの?」

 乾杯をしてから半分ほど飲んだ。

 さっぱりとした白葡萄酒である。

 チーズがよく合う。

 夕食にあれだけ食べたにもかかわらず、お皿に盛られている五種類のチーズを次から次へと口に放り込んでしまう。

 その片手間に、葡萄酒の瓶をキャンドルの淡い光の中にかざした。

 どうやらバラデス王国の産のようである。

 この隠れ家を見てまわったときには気がつかなかったけれど、どこかに保管されていたのかもしれない。
< 142 / 426 >

この作品をシェア

pagetop