「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「フェリペからのプレゼントだ。王都の南方に葡萄で有名な領地があるらしい。そこの白葡萄酒で、隠れ家に戻ってくる際に買ってきてくれたんだ」
「なんですって?」

 おもわず、大きな声を出してしまった。

「な、なんだよ? 葡萄で有名な領地のことを、そこまで驚くなくてもいいだろう?」
「そこじゃないわ。フェリペが買ってくれたのに、わたしたちだけでいただいていいのかということよ」
「いいさ。彼がそう望んでいるんだから」
「ちょっと、クスト。どうしてそう言いきれるのよ」
< 143 / 426 >

この作品をシェア

pagetop