「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 遺言の存在がなければ、クストディオが「おれは、亡き国王の血を引いている」と騒ごうが主張しようが気にする必要はない。

 宰相がわたしたちに会った真意はわからないけれど、最初から余裕だったわけね。

 彼にすれば、ただの暇つぶしだったのかしら。それとも、亡き国王の血を引くクストディオがどんな男なのか、ひとめ見たかったというところかしら。

「ええ、あなた。ききました。閣下がそうおっしゃるのでしたら間違いはないでしょうけれど、わたしたちもわざわざここまでやって来たのです。一度、あの方に確かめた方がよくありませんか? どうするのか考えるのは、それからでも遅くはないと思います」

 とりあえずお茶の香りを楽しみ、それを飲んでからクストディオに提案した。

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