「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 それはともかく、おれの言い方がよくなかったらしい。彼女が怒り出したので、慌ててエドムンドにも振ってみたが、優秀な諜報員である彼も、こういうことは苦手らしい。まったくお役に立たなかった。

 しかし、フェリペがいい仕事をしてくれた。

 彼女の元婚約者であるダニエル・ウリバルリの話をきいて怒りだしたのだ。

 そのお蔭で、彼女は機嫌を直した。

 が、おれへの怒りはおさまってはいなかった。

 全力で肩を殴られてしまった。

 彼女にナイフを持たせずとも、襲ってきた相手を拳だけでノックアウト出来るはずだ。

 つくづく実感した一瞬だった。
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