「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「それは、『はぐれ王子』のことだな? 噂にはきいている。おれの腹違いの弟というわけだ」

 瞬きする間も開けず、アルマンドは応じた。

 美貌の笑顔はそのままで。

 彼が隠れ家でわたしたちに告げたことが嘘ではなかったら、彼とクストディオに血のつながりはない。

 アルマンドは、正妃と暗殺された国王の弟との間に生まれた子。だから、腹違いの兄弟にはならない。

「その異腹の弟がこの国に? だったら、顔を見せてくれればよかったのにな」

 なるほど。あくまでもわたしたちとは面識がなく、いっさいの関わり合いがないというスタンスを貫くつもりなのね。

 それならそれで、こちらにも考えがあるわ。
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