「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「カヨ様」
「カヨ様」

 エドムンドとフェリペも現れた。

 彼らは見張りの者たちを迅速かつ静かに倒し、クストディオや宰相をこの部屋へと導いたらしい。

 駆けよってきた二人の顔を見、それからクストディオの胸のあたたかさにホッとした。

 その瞬間である。急に涙が溢れ、目からこぼれ落ち始めた。

 このわたしが泣くだなんて……。

 自分でも驚いてしまった。

 そして、クストディオとエドムンドとフェリペのやさしくてあたたかい言葉をききながら、わたしはずっと泣き続けた。
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