「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「な、なにをするんだ?」
「見損なったわ。あなたって嫌な奴だけど、こういうことはきっちりしているのかと信じていたのよ」
「ああああ? どういう意味だ、イタッ、やめろ、やめてくれ」

 何度も何度も大きな枕を彼に叩き続ける。

 彼は、悲鳴を上げながら寝台の上から転がるようにして飛び降りた。そして、テラスへと続くガラス扉まで逃げた。

 その彼を追いかけるべく、わたしも寝台から飛び降りた。

 板張りの床に素足が気持ちいい。
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