「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 その青年の雰囲気は、この国の諜報員でわたしたちをここに案内したエドムンドと同じような感じかもしれない。

 青年は、わたしたちを起こしに来ただけだった。

 自分の身のまわりのことは自分でしろ、というわけである。

 当然のことながら、一応侯爵令嬢のわたしは、生まれたときから身の回りのことはメイドたちに手伝ってもらっていた。だからここでも、と文句を言うつもりやクレームを投げつけるつもりはない。

 クストディオとその青年を部屋から追いだし、自分の身の回りのことは自分でやり、朝食をとった。

 その朝食で、ヘルマンが開口一番言った。
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