「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 朝食は、三人でテラスでとった。

 三人というのは、ヘルマンとクストディオとわたしである。

 クストディオの頬は、真っ赤になっている。
 ざまぁみろ、よね?

 それはともかく、昨夜はこの屋敷にやって来たのが遅かった。だから、ヘルマンと挨拶を交わして例のことを告げられてから部屋に案内され、そのまま眠ってしまった。
 会ったのはヘルマンだけで、彼以外は見なかった。

 今朝、部屋にやって来たのは侍女やメイドといったレディではなく、あきらかにヤバそうな青年だった。ヤバそうなというのは、あくまでもわたしの主観である。それは、ふつうの様子ではないというか、まともではないというか、とにかくクストディオやわたしとは住む世界そのものが違うような雰囲気を漂わせている、という意味である。
< 51 / 426 >

この作品をシェア

pagetop