「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

考えることを諦めよう

 窓の向こうに広がる野原をボーッと見ているふりをしていたけれど、横にいるクストディオに視線を走らせた。
 
 彼も居心地の悪い思いをしているのかしら?

 彼は、頑なに反対側の窓を見ている。

 心の中で溜息をついた。

 ここは、わたしが折れるしかないかしら。
 不本意ではあるけれど。

 彼とわたししかいないから、彼しか頼る者がいない。ということは、彼と協力し合うしかない。

 もっとも、あの胡散臭すぎるヘルマンと手を組むのなら別だけど。あるいは、他の王子たちや有力者に取り入るのなら。

 そんなの、冗談じゃないわよね。

 それならまだクストディオと組んだ方がずっとマシよ。

 だったら、妥協や歩み寄りが必要よね?

 意を決した。
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