「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
「クスト……」
「カヨッ」

 口を開いた瞬間、彼がこちらを向いたので(それ)を閉じてしまった。

「な、なによ?」
「なに?」

 彼と言葉がかぶさった。

「別になんでもないわ。あなたこそなんなの?」
「別になんでもない。きみこそなに?」

 またしてもかぶさってしまった。

「あなたが先にわたしを呼んだわ。いったいなに?」
「きみが先におれを呼んだ。いったいなんだい?」

 またまたかぶさった。
< 71 / 426 >

この作品をシェア

pagetop