「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~
 エドムンドは、報酬など必要ない。それどころか、彼はそれに興味はない。
 そう直感した。同時に、わたしたちに味方する理由が、なにかあるのだとも。

 もしかしたら、ヘルマンの使いでクストディオに接触したことじたい、特別な理由があるのかもしれない。

 いずれにせよ、いまはまだ彼もこれ以上のことは教えるつもりはないに違いない。

 だけど、いつかは知りたい。

 いいえ。知らなければならない。

 クストディオとわたしの希望通り、エドムンドとフェリペ兄弟を味方にすることが出来た。

 彼らが裏切る? もしも裏切ったとしたら、それはクストディオとわたしの見込み違いというだけのこと。つまり「人を見る目がなかった」、というだけのこと。

 しかし、彼らは裏切ったりしないという確信がある。自分でもどういう根拠でそう確信しているかわからないけれど。
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