ヴァンパイアな彼等

ヴァンパイアの御三家


『ヴァンパイアは、吸血衝動が抑えられなくなると、瞳が紅くなる』

そんな話を聞いたことはあった。

ただ、普段の生活で両親も、弟の冬夜、祖父母のそんな姿は生まれてこの方一度も見たことがない。

それは吸血衝動が抑えられなくなる前にきちんと対処してるから。

ひと昔前までは、人間から直接血液を接種するのが主流だったのだが、このご時世、そんなことをすればヴァンパイア側も体裁が悪い。

それに今は、科学の進歩と共に開発された吸血衝動を抑える薬もあるし。

血液を接種するために、献血などでストックしてある人間の血を購入する裏ルートまで整備されている。

だからこそ、理性を失いそうになる吸血衝動が起きることなんて滅多にないはず…なのだが…。

私は目の前で起きている現実に、狼狽えていた。

「…ハァ、ちょっとマシになったな」

「きっつ〜。なんだよ、さっきの…」

「意識とぶかと思った…」

私が傷口を塞いだからか、3人の瞳の色は紅からそれぞれの色に戻っている。

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