ヴァンパイアな彼等

♢◆♢

「柚葉、冬夜…羽南学園の入学おめでとう…!お母さんもお父さんも鼻が高いわ!そして、思った通り…制服がすっごく似合ってる!さ、記念写真とりましょ〜」

「お母さん、さっきもたくさん撮ったでしょ?そろそろ私達、教室に行かないと…」

いつも以上にテンションの高い母、蓮香に私は曖昧に微笑むとそう声をかけた。

「…姉さん、僕も初等部の方に行くよ。姉さんも頃合見て教室に行かないとホームルームに遅れるよ?」

クールな冬夜は未だに騒いでいる母を一瞥し、初等部のある校舎に足を進める。

「えぇ…!もう、冬夜ったら冷たいんだから…もう。誰に似たのかしら?ねぇ、紅夜さん」

「はは。ほら、蓮香…写真ならまた撮ればいい。柚葉も困ってるからそろそろ私達も戻ろう?」

「…わかったわ。それじゃ、柚葉、また後でね。私と紅夜さん、先に家に帰っておご馳走作っとくからねー!」

ブンブンと大きく手を振って、去っていく母に小さく手を振り返した私はソッとため息をこぼした。

本日、私立羽南学園の入学式。

私は無事に、高校1年生の春を迎えていた。
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