三日後に死ぬ彼に血をあげたら溺愛が止まりません


 ヴァンパイアと知りながら純のことを好きになってしまった私は大バカものだと思う。


 そんな純は、フラフラと体調が悪そうな足取りで自分の席へと着いた。


 純が元気な姿はあまり見たことはないけれど、今日はいつにもまして青ざめた表情をしている。


 適量といえど、病気を持っているかもしれない人の血までも毎日吸っているんだ。体調も悪くなるに決まっている。


 ユキは私の視線が純に向いていることを勘づいたらしく、「愛しの安斉くんがぁ~誰かさんをまってるよ~」と茶化してきた。


「……別に、私のことなんて待ってないと思う」


 そんなことを言いながらも、やっぱり心配で、食べかけていたお弁当を持って純の席へ近づく。


 腕で頭を抱えて顔を伏せていたにも関わらず、幼なじみを理由に「純、卵焼き食べる?」と声を掛ける。すると、純は眉間に皺を寄せながら、

「……卵焼き?」


 顔を上げてくれた。……は良いが、やはり体調が良くないらしく「ハア、頭いてぇ」とまた、顔を歪めた。


「うん、今日ね私がお弁当作ったんだ」

「へぇ。柄にもなく作ったんだ? つーか、食べれんの、ソレ」

「た、食べれるよ! 変なものは入れてないよ!」


 人が一生懸命作った卵焼きを、まるで毒リンゴでも見るかのような目で見る純。……の口に、無理矢理突っ込む。


「んぐっ!? おま……! 俺を殺す気か!」

「いいから食べてみて! 美味しいでしょ!」


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