三日後に死ぬ彼に血をあげたら溺愛が止まりません



 てっきり数量の血でこと足りているのかと思っていた。けれど、それはやせ我慢だったらしく、純にとっては不味くて飲めたものじゃなかったらしい。


「そ、それは……けが人の血だからじゃない? ばい菌が入ってるからとか」

「そんなの関係ない。今までどさくさに紛れて凄い数の人間の血を吸ってきたけど、全員死ぬほど不味かった」


 そう訴える純に頭が真っ白になる。今迄の不満をぶつけられても困る。でも、純が死なれたら私が困る。なので、

「私の血、いる?」


 ダメ元で聞いてみると、純は酷く不満そうな顔をした。


 人間の血は不味くて飲めたものじゃないと言っていたのに、私はまだ純に血を飲ませようとしている。純からしてみたらこれほど苦痛なことはないのかもしれないけど、卵焼きの件もある。


 もしかしたら、僅かな可能性で純を救えるかもしれない。


「俺、おまえの血だけは飲まないって決めてるから。それに不味かったら噛み殺すかもしれないよ」


 ――純は私の血『だけは』飲まないらしい。そう言い切られるほど嫌われていたなんて、今の今まで知らなかった。けれど純の気持ちも分かる。私も自分がヴァンパイアだったら、嫌いな人の血は飲みたくない。


 ――今更遅いかもしれない。


 けれど、理由が知りたい。


 私はこんなに嫌われるほどの、何をしてしまったのだろう。

< 6 / 21 >

この作品をシェア

pagetop