ヴァンパイアガールズ
よーい,ドンッ。

そんなお決まりの合図で始まっては



「これで全員かー?」

「はーい」

「嘘だったらお前を晩飯にするからなー」



と言った寒いセクハラ紛いのヴァンパイアジョーク。

遅いなりに早かった持久走も,後は休憩だけ。

ぼう,と眺めると,やっぱり男子は少なくて。

全部で6人。

その中でも,シュウとハルは男子の中で1番。

かっこよくて,速かった。

最も,1番早いのは美海。

さっさと終わらせて寝転がるんだと言っていた通り,大差をつけての1位を転がり込んできた。

真っ直ぐ私のところへ走ってきて,抱きつく。

周囲の羨望の眼差しは,それだけならまだ可愛いと違う方は向かないことにした。



「……おなかすいた,ぐぅ。今日は,くれる……?」

「あげないよ」



昨日今日,ハルや美海は血の話題が多い。

普通,友人間ならおふざけ以外は減るはずなのに。

ガチトーンでいつもと変わらず誘われ,ねだられる。

あせの少ない髪をさらさらと撫でれば,美海は気持ち良さそうに目を閉じた。

追って,ハル,その後ろを先にゴールしていたシュウが来る。

こうやって,1番憧れられるスクールカースト1位の彼らや美海がこぞって真っ直ぐやって来るから。

モテてるなんて誤解で,僻まれるのだ。

これもまた,仕方ない。
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