ハツコイ

二度目の救い

 「望舞ー、風蘭ー、起きなさーい。今日から学校よ〜。」
 「おはようございます、“葉南さん”。」
 「あら、望舞。早いわね〜。ほんと、偉いわ〜。」
 「いえいえ、そんな事ないですよ。私、もうあと着替えるだけなので、風蘭、起こしてきますね。」
 「ありがとう。助かるわぁ。」
 私は今日から、風蘭と同じ中学に通うことになった。年齢から、私は風蘭と同じ3年生らしく、教室も同じにしてもらえるそうだ。ちなみに2学期からの転校、という扱いだそう。

 「風蘭ーっ起きて。朝だよ。」
 「んん〜ぅぅう、ふはあぁぁ。んぅ、はよ」
 「おはよ。」
 「望舞、早いな。」
 「あ、“尤瑪さん”っ。おはようございます。」
 「うん、おはよう。」

 この家では、朝ごはんは必ず一緒に食べる、という習慣があるようだ。それと、着替えは朝ごはんを済ませてから、だとか。
 「ありがとう、望舞。ほら、みんな座りなさい。パン、ご飯は自分で用意して。」
 「あ、じゃあ、私やるね。」
 「いいのぉ?」
 「うん。」
 「じゃあ、お願いね。私、“月海”を起こしてくるわ。」
 「わかりました。ありがとうございます。」
 こうして、私は少しでも、神井家に貢献しようと、お手伝いをたくさんしている。
 
 「それじゃあ、」
 「「「「「いただきます」」」」」

   *

 「望舞、少し気になっていたことがあるんだが、」
 「なんですか?」
 「敬語、使わなくていいぞ。俺等には気を使う必要ないから。」
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