ハツコイ
 「で、でも・・・」
 「望舞、あまり話されたくない事かもしれないけど、いいか?」
 「・・・はい。」
 「望舞が、俺等に対して敬語を使うのは、前の家からなんじゃないか?」
 「っ、、」
 そうだ。私は前の家、いや、前の親のせいで、大人には敬語しか使えなくなってしまったのだ。なぜなら、恐怖心で。前の親にされたことがトラウマになってしまっているから。
 「理由を無理やり聞き出そうとしているわけではない。」
 それはわかっている。このたった数日だが、この人を見ていて、そんなことをするような人とは思えなかった。
 「・・・ではなぜ、このような話を?」
 「俺は、君に、心から信頼できる、心を許せる大人、というのを見つけてほしいからだ。」
 え・・・?
 「どれだけ時間がかかってもいい。ただ、全ての大人が、君のトラウマになっているような者ではない、ということをわかっておいてほしい。皆が皆同じではない、ということを。」
 「みんながみんな同じじゃない。・・・」
 「ああ。」
 そうなのかな。・・・そう、なのかもしれない。確かに、葉南さんや尤瑪さんはそんな人じゃない。じゃあ・・・
 『俺等に対して敬語は、使わなくていい。』
 「ありがとう。お、と、、さ・・・」
 「いいよ、尤瑪さん、で。今は、まだ。俺のことを自分のお父さん、って思えたら、でいいよ。」
 「い、いの?」
 「当たり前だよ。無理やり言わそうなんて思ってない。それより今は、敬語外れたことが何より嬉しいよ。」
 「・・・っ//」
 「まあただ、先生、とかに対しては、しっかり敬語使うんだぞ?初めましての人や目上の人に対して。」 「うん!」
 「よしっいい子だ。じゃあ、そろそろ学校行く時間だろう。」
 「うん、行ってきます!」
 「いってらっしゃい。」
 「・・・あっ」
 そうだっ
 「んっ?」
 ぎゅっ
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